「……な、なに書いてんの」
よほどびっくりしたみたいで、ほっぺたが若干
赤く染まってる。
「なにって……。中島くん、好きな人いるんだよね?」
直接聞いたことがあるから、否定できないはず。
中央区で、すっごく可愛い女の子と歩いてたって聞いたし。
ちょうどその日は、大事な用事があるって言って帰った日だったし。
中島くん、中央高校に通ってる幼なじみがいるみたいだし。
それだけの情報がそろってるんだから、言い逃れはできないよね?
「宇宙一可愛いって、自分で言ってたじゃん」
「う……、ん」
曖昧にうなずくと、頭を抱えてその場にしゃがみこんでしまった。
「そーゆーとこだよ……お前」
なんて、軽く睨まれた。
「だったら俺は。こう書くしかないってこと?」
こうって……どう?
首を傾げる。
マジックを手に取った中島くん。
まだ何も書かれていないピンクの紙を、自分のほうにスライドさせた。
【上月が、幸せになりますように。】