うつむいてる。
何を考えているかわからない。


私は中島くんが持ってきてくれたマジックを手に取った。それからピンクの紙。

よく見ると、2枚重なっていた。




「中島くんに話せてよかった。…ありがとう」


マジックのキャップをパカッとはずす。



不思議と気持ちは穏やかだった。
ずっと思い出にしたくて、できていなかったこと。
これでやっと解放された気がした。



────だからもう、私の自分に対してのお願い事なんていらないかな……って。

今はそれよりも、隣にいて静かに話を聞いてくれた中島くんの存在に助けられたっていう感謝の気持ちが大きくなっていた。




【 中島くんが、好きな人と結ばれますように 。】




私がペンを置いたのを見計らうタイミングで、ゆっくりとピンクの紙をのぞき込んだ中島くん。

直後、ガタガタッと慌ただしい音を立てて立ちあがる。