「だから遼くんは何も知らない。私がただ一方的に別れようって言っただけ」
あっという間に引き裂かれて
心の傷はなかなか癒えなかった。
「遼くんがなんて言おうと離れるって決めてた。……だけど最後に、思い出がほしくて、」
───他の人に触られたことを忘れさせてほしくて、
「遼くんに、頼んだんだ───」
間をあけて「何を 、」と言った中島くんは
尋ねるというより
確かめるという感じの
半ば確信をもった聞き方をしてきた。
私が口を開こうとすると
なぜか悲しい目をして
「やっぱ、いい」とこぼした。
「……それだけ、だよ。なんか、話すとあっけないね」
中島くんはしばらく何も言わなかった。



