紙とペン。
これだけじゃ何をするかわからない。
でも
「短冊みたいだね」
七夕の日、笹の木に結びつけてお願い事をするもの。
「そー。七夕もどきのイベントやってたから取ってきた。このピンクは、恋愛の願いごと書く紙」
「恋愛……」
思わず中島くんの目を見ると、どうしてか逸らされた。
「……だから書いとけば?」
「えっ?」
「……“ 遼くんと結ばれますように ” って 」
「……っ」
……そんなの。
無理だよ。
ううん、その前に望んでない。
……いや、それも嘘。
私が遼くんと結ばれるのはだめなことだけど
私が紗世さんだったら……ってずっと思ってた。
「願うのはタダだし。それにムカつくだろ、あんなクソみたいな女の思い通りって」
相変わらず私の目を見ない。
やっぱり気を使わせてしまっているのかな。
「ほんとは俺が………」
そう言いかけて、中島くんは言葉を切った。
さっきから優しい中島くん。
調子が狂ってしまう。
どうせ知られてしまったのなら
ぜんぶ話してしまいたい。
中島くんが知ったのはほんの一部分。
紗世さんの言ったことは “ だいたい ” 合ってる。
本当は、少しだけ……紗世さんも知らない事実がある。
この紙に願いごとを書く前に、誰かに聞いてほしい。
────ううん。
中島くんだから……中島くんに、聞いてほしいと思った。



