「落ち着いた?」
中島くんに聞かれてうなずいた。
そっと離れていく甘いかおり。
「水飲む?」
差し出された紙コップを受け取った。
ありがとうって言葉は、かすれてうまく声にならなかった。
「会長に事情を話してといたから、仕事のことは心配しなくていい。……事情つっても、あいつらのことは話してない、なんとなく……そっちのがいいかと思って」
あいつら、とは
たぶん紗世さんと悠人さんのこと。
それはすごくありがたかった。
……遼くんは、あのことを知らないから。
私が、二人にひどいことをされたなんて
夢にも思ってないだろうから。
「上月」
「うん?」
「俺が遅くなったのは、これ取ってきたから」
……これ?
中島くんが机に置いたのは、長方形の形をしたピンク色の紙と、黒マジック。
紙の上の方に、パンチであけたと思われる小さい穴があった。
「せっかく文化祭なんだし、ちょっとは参加しないと損だろ」



