「保健室行くか?」
「……行かない、生徒会室行く」
「そんな状態で仕事すんの? 無理でしょ」
「無理じゃないし……離れて」
反抗的な態度をとってるのに、中島くんはいつまで経っても離れてくれない。
ここは愛想つかして、「あっそ。心配して損した。とっととくたばれクソ女」とか言って去ってもいいところだよ。
だって、キスしたのはもちろんそっちが悪いけど、こっちもほっぺた引っぱたいたり、足踏んづけたり、ドアに手を挟ませたりしてるんだから。
私のことめちゃくちゃ嫌いなくせに、なんで?
昨日みたいに怒って、暴言吐いて、早くどっか行ってよ。
「ほら、手かしてやるからとりあえず立って」
「……、」
「ん」と差し出された手を見つめる。体は細身のくせに、ゴツゴツして大きい。指も長くて綺麗。
その手をとるつもりはなかったけど、立ち上がるための支えにしようと思って、手のひらじゃなくて腕を上からつかみ、体重をかけた。
「中島くんが優しいと、きもちわるいよ」



