「……遅かった……っ、から」
「えっ?」
「中島くん、水持ってくるだけなのに、……全然戻ってこないから……っ、私のこと忘れてどっか、行っちゃたのかな、とか……」
わかってる。
滅茶苦茶なこと言ってるって。
中島くん、戸惑うに決まってる。
恥ずかしい
……のに、自分でも抑えがきかない。
困らせちゃいけないのに。
「ごめん」
ぎゅっと抱きしめられた。
「遅くなってごめん」
胸が苦しくなる。
よけいに涙が溢れてくる。
「俺、ここにいるから。……大丈夫だから」
きっとあんな夢を見たせいだ。
心の中で何回さけんでも、あのとき遼くんは来てくれなかった。
私がどうしてるかなんて知るはずもないんだから、当然のことだけど
心のどこかで助けに来てくれるって信じてた。
こうやって、大丈夫って言って優しく抱きしめてくれることを
願わずにはいられなかった。



