「しかも、他の男とイチャイチャしててびっくり。誰でもいいんだね〜。 遼を好きな気持ちも、しょせんその程度ってことか」


蔑む瞳。


「まあ、お似合いなんじゃない? 遼と付き合うなんて身の程知らずなことするより、バカ高の男といたほうが痛い目みなくて済むもんね」


嘲笑う声。



─────やめて。

頭の中に反響する。
胸の奥に刃のように突き刺さる。




「相手のほうも、顔はいいからモテるんだろうけど。こんな学校に通ってる時点で終わってるわ。どうせ学識もない遊んでばっかの男なんでしょ」



私が身の程知らずなのはわかってる。

遼くんと一緒にいてはいけない。

私自身が否定されるのは仕方のないこと。


……だけど。

気持ちまで否定しないで。

知りもしないのに、中島くんのこと、悪く言わないで。



「あなたが誰だか知らないけど、」


悔しさに胸が張り裂けそうで、涙が滲みそうになったとき。
中島くんが一歩まえに出てそう言った。



「上月をここに連れてきたは俺です。俺が一方的に抱きしめてただけ、上月の気持ちは一切こっちには向いてない。 ……上月はちゃんと、一途に想ってる」



抑揚のない声。
一瞬だけ私を見る。


「上月が好きな男は、
……今も、堺井遼だけですよ」