「あ、やっぱり上月さんだ」


中島くんが相手のほうをふり向くと私の視界がひらけた。


彼女は────泉宮 紗世(いずみや さよ)さんは、私を見て片頬だけで笑っていた。

その隣には、兄の泉宮 悠人(いずみや ゆうと)さんが立っている。



目眩がした。

中島くんは二人を見たあと、私に視線を戻した。

誰なのか、と問いたげに見下ろしてくる。

それに答えられる余裕なんてなかった。




「遼の通ってる学校、一体どんなところかと思って来てみれば、最下層の寄せ集め……ゴミ溜めみたいな場所だね、笑っちゃった」


喉がはりついて声も出ない。