だんだん自分の考えてることがわからなくなってきた。
無性に泣きたくなってくる。

何に対して、こんなに悲しい気持ちになってるのか。



「……がんばったのに」

弱々しい声が漏れた。



「なんで怒るの? ……に、似合ってないのはわかってるし、男子に絡まれて面倒ごと起こして、私がムカつくのはわかるけど、……っ、」



あからさまに、態度に出さなくてもいいんじゃないの。
そんなことされると……傷つくよ。


いくら中島くんだからって。
口が悪くて軽率で最低な、中島くんだからって。


考えると苦しくなる。
このモヤっとした重たいものはなんだろう。



「そうじゃない」

低い声が落ちてくる。


そんな不機嫌そうな声が聞きたいわけじゃない。

頭の中でついさっきの光景が蘇った。
女の子たちに囲まれてニコニコしてた中島くん。


優しい笑顔、優しい声。

たぶん、きっと

私にも向けてほしかった──────



「わかれよ」


ふいに距離が縮まった。

どこか切なさをはらんだ響き。



「他の男に、……見せたくない」


少しうつむいて
また表情がよめない。

知りたいと思ったら、背中に腕が回ってきて、私の体を力なく抱きしめた。




「上月は俺の────だったらよかったのに」