すると今度は反対の手をつかまれる感触がして、
両側から拘束されたのかと思いヒヤッとする。
────どうしよう。
足元が凍りついたように動かない。
心臓が早鐘を打ちはじめる。
「なあ返事は?
あんまり焦らされると、俺──────」
相手の声が不自然に途切れた。
それから、ぐいっと腕を引かれたかと思えば
その先で
よく知った甘い匂いに包まれた。
「お客さん、ベタベタ触らないでいただけますか?」
びっくりするくらい低い声。
この響きは知っている。
─────キケンなときの
中島くん。
「俺の、なんですよね……この子」



