やがて校内アナウンスが流れ、文化祭の始まりを告げた。
クラスのシフトでは一番最初の時間帯に入っていたから、オープニングセレモニーには参加せず、そのまま教室でお客さんが来るのを待つことにした。
悪名高い西高の文化祭なんていったい誰が好き好んで来るんだろうと思いながら、窓の外をぼんやり眺める。
だけど思いのほか、校内にはたくさんの人で溢れていてびっくりしてしまう。
「おーおー、人ヤバッ」
視界の端でスカートがふわっとなびいたかと思えば、メイド服を着た浦本くんが隣に並んできた。
金髪リーゼントにふんふわのメイド服があまりにも不釣り合いで思わず笑ってしまう。
「えーなに笑ってんすかあ。やべぇーコイツ似合わねぇって?」
顔面とのギャップがすごいことに自覚はあるらしい。
クスクス笑っていると、照れたように頭をかく。
「あー。それよか上月さん、マジで今日可愛いな」
さらっとそんなセリフを混ぜてくる浦本くん。
お世辞だとはわかってるけど、私が周りの人の目にどう映っているか不安な気持ちがまだあったから、おかげでちょっと自信がもてた。



