中島くん、わざとでしょ


そう言うなり顔を背けて、イライラした様子でうさ耳フードを頭から外し、舌打ちをした。



「誰。……これ着せたヤツ」


くしゃっと無造作に前髪をかき上げて、周りを見渡した中島くんの元へ、浦本くんがやって来た。




「あー中島。 食あたりで休んだヤツの代わりを上月さんに頼んだんだけど……」

「だめ」

「は?」

「絶対だめ……」



私ではなく、浦本くんに詰め寄ってそんなことを言い始める。


絶対だめって……。
本人の前でそんなに否定してなくてもいいのに。


“ 可愛い ” なんて言葉をからかう以外で中島くんが言うはずはないんだけど、あんがい似合ってる……とか

そのくらいは言ってくれるんじゃないかと。

私は密かに期待していたらしく、ふくらんでいた気持ちが急にしぼんでいくのがわかった。