中島くん、わざとでしょ



メイド服に身を包み、ミカちゃんのうしろに隠れるようにして廊下を歩いた。

いつもよりマシな顔になったとはいえ、恥ずかしいものは恥ずかしい。



「顔上げなって〜。せっかく可愛くしてあげたのに」

「ううっ……」


周りの人がみんな自分を見ている気がする。

笑われてたらどうしよう……。



そしてなんとか教室前までたどりついたとき、ミカちゃんが何かに気づいたように「あっ」と声をあげた。



「……うさぎだ」


うさぎ?

聞いて思いつくのは一人しかいない。



思わず顔をあげる。

斜め上前方に、ゆらゆら動くうさ耳……フード。


ちょうどこっちを見た相手と
バチッと視線が絡み合った。




「……な」

低い声とともに、ピンクの長い耳が揺れる。




「っ、……なにやってんだよ」