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─────約30分後。
鏡を見ると、落ちていた気分が少しだけあがった。
もうどうにでもなれと、メイクも髪型も、ミカちゃんにされるがまま座っていた結果。
パチッ瞬きをしてみる。
心なしか、目がいつもよりおっきく見える。
心なしか、涙袋がいつもよりぷっくりして見える。
思わずに横顔を鏡に映すと、睫毛がくるんとカールしていて。
自分の顔なのに、ちょっと可愛いかも……なんて思ってしまった。
よく見るとそうでもないんだけど!
雰囲気!
いつもよりふわふわしてて、女の子っぽくなってるのは事実。
「へへへ〜。ピンクベースのアイシャドウ使って甘めに仕上げたんだよ〜。予想通り! ってか予想以上に可愛くなった!」
そう言って得意顔で頭をなでてくれるミカちゃん。
「睫毛は上げただけでマスカラは使ってないし、アイラインも目尻だけだから、超ナチュラルだよ! 可愛い可愛い」
そうやっておだてられると悪い気はしない。
これなら私も接客できるかも。
ほんとは憧れだったメイド服も、ちょっとは自信持って着ることができる……。



