バッと頭を下げられた。

3人も休みなら、そりゃあ誰かが代わりに接客にまわらないといけないし、こんな頼み方されたら断るわけにもいかないけど。




「メ、メイド服は……ちょっと……」

「大丈夫!サイズはちゃんと揃えてあるぜ」

「いやえーっと、そういうことじゃなくて……私……」


たぶん似合わないし。
そんな格好を人前でするとか、ハードル高いし。


中島くんも……“ そんな貧相な体でメイド服着ても〜 ” とかバカにしてきたし。




「私のメイド服姿なんて人前に晒せるものじゃないので……」


なんとか手を引いてもらおうと必死。
だけど浦本くんも、私を説得しようと必死。ガシっと両手をつかんでくる。



「何いってんすか! 上月さんは絶っ対似合うから!
めちゃくちゃ可愛いし!」



間違っても、そんな言葉に乗せられたりはしない……。

次の断り文句を考えていると、横からミカちゃんが介入してきた。



「浦本くん任せて! あたしがメイクでもっと可愛くしてあげるから〜」


そう言うと、私の首根っこをつかんでひき寄せる。



「ええっ、ちょっとミカちゃん……?!」


困惑気味の私をよそに、浦本くんからメイド服を受け取ると、ニコニコ笑顔で「ほら、更衣室行くよ!」なんて言ってくる。


反対の手には、
メイクポーチが握られていた──────。