中島くん、わざとでしょ



私の唇をありえない理由で奪った相手なんだよ、しかも表向きは優等生のくせに、裏では煙草なんか吸ってる不良なんだよ、ミカちゃん。




「はあ。お腹痛い……」

「いや話そらさないで」


「中島くんのことなんか考えてる余裕ない、痛すぎるよ。考えてたら余計に痛いかも、めちゃくちゃ痛い……」

「あーもう。痛いって言ったら余計に痛くなるんだって。あと1時間受けたら昼休みだし、がんばろ、ね」




うん、とうなずいて、机に突っ伏せる。


あと1時間。

お弁当の保温パックに入ってるあったかいコーンスープを飲めば、少しは楽になるかもしれない。

そして5限目が始まるまで保健室で休ませてもらって……。



なんて考えてたら、机の上に置いてたスマホがブルブルと振動した。


通知を開くと、画面中央に、遼くんの名前。




【今日の昼休み、頼みたい仕事があるんだ。生徒会室に来れる?】



事務的な内容に落胆しつつも、遼くんに会えるんだと思うとお腹の痛みも少し引いた気がして。


迷うことなく

【わかった。行くね】

って、即返信。




遼くんに会えるなら、お腹の痛みなんてへっちゃら。

お気楽な私は本気でそう思ってた。