軽く笑うと、髪を1回くしゃっと撫でる。
心臓がドクドクっとヘンなふうに脈打った。
「……な、殴る蹴るなんてしないし……っ」
「どーだか。暴力女だしな」
「それは中島くんがムカつくことばっか言うからでしょ」
ムキになって返した言葉に被さるように5限目の予鈴が鳴った。
間もなくして歴史の資料を抱えた先生が入ってくる。
「……そういや、上月さん」
私から手を離して黒板のほうに向き直った中島くん。
「……なんですか」
私も同じように前を向いて、トーンを落としてヒソヒソと答える。
「文化祭、一般公開されることになっただろ」
「うん」
「だったら模擬店とかいろいろ出るよな」
「ああ、うん……そうだね」
ここでいきなり文化祭の話? とポカンとする。
もう授業始まるのに。
「生徒会のシゴト、もし休憩もらえたりしたら俺と回────」
「きりーーつ」
何か言いかけた中島くんを遮ったけだるい号令。