えっ? と反射的に顔を上げてしまう。
びっくりして、お腹の痛みも一瞬だけ吹き飛んだ気がした。
ほんとだ、目があった。
今日もクラスの真ん中で、たくさんの男子たちに囲まれてる。
話を聞きながら、相づちをうったり、肩を揺らして笑ったり。
どう見ても周りと楽しそうにおしゃべりしてるのに、視線だけはなぜか、私の方を向いている。
本当に私を見てるのか不安になって、一度うしろを振り返ってみたけど、誰もいない。
再び前を向くと、また確かに視線がぶつかった。
えっ、と。
なんで見られてるの?
なんで逸らさないの?
私が誰かに告げ口しないか、見張ってるのかもしれない。ああ、きっとそうにちがいない。
なんて疑り深い男なんだろう。
言わないってあれほど言ってるのに。
「ねぇ、昨日から中島くんと仲いいよね?急にどうしたの」
そわそわっと身を乗り出すミカちゃん。
そんな、期待に満ちた瞳で見つめないでほしい。
「断じて仲良しとかじゃない。正反対」
「正反対? どゆこと」
「因縁の相手」
「はあ?」