例年通りなら、人を呼び込むどころか印象を悪化させかねない。
いくら生徒会が運営をおこなうとはいえ、生徒会のたった数人で生徒ひとりひとりに目を向けるなんてできっこないし。
日に日に威厳を失くしている先生たちには、とてもじゃないけど期待できない。
「不安しかないよ〜」
ミカちゃんの机でうなだれていると、ちょうど前を通りかかった中島くんが足を止めた。
手にはコーラを持っている。
なにか言われるのかと身構えると、中島くんは爽やかに笑ってみせた。
「上月さんごめん。いきなりで悪いんだけど、今日の放課後の生徒会、行けなくなった」
どうやら、ミカちゃんの前だから優等生モードに切り替えたらしい。
気にくわない。
「なにか用事でもあるの?」
ほんとはサボりたいだけなんじゃないの?と疑いの目を向けてみる。
「中央区に行かないといけなくて」
「中央区に?」
「うん。……大事な、用事」
どうせ演技だろうけど、申し訳なさそうな顔を向けてくるから何も言わないことにした。