ひとりごとみたいにボソッとつぶやかれたセリフ。
妙に耳触りがよくて、中に優しく流れこんでくるような声だった。
ドクリと胸が音を立てる。
……かわい、
川井、河合、カワイ……。
自意識過剰になるのもはずかしくていろいろ変換してみるけど、どれも今の状況からして不自然で。
か、可愛い……って言った?
じわっと顔が熱くなった。
しまったと思う。
今、ぜったい真っ赤になってるから。
人タラシの中島くんのことだから軽い冗談だとはもちろん理解できるけど、これはちょっと不意打ちすぎた。
動揺してるなんて思われなくない、笑われるだけ。
だけど顔をあげたらバレてしまう。
「もう治った?」
そう聞かれて思わず中島くんの背中に腕をまわしてギュッと抱きついてしまった。
白シャツに顔をうずめる。
だってこの顔、見られるわけにはいかないから。
「っ、上月?」
「……まだしびれてるから」
「……そう」
「……」



