首にあてられていた指先が今度は口元にそっとそえられる。
校舎の誰もいないところで二人きり、
こんなシチュエーション。
鼓動が加速していく。
その裏側で、まるで学園恋愛ドラマの中にいるみたいだと
この状況をどこか客観的に見てる自分がいた。
あんまり現実味がない。
だんだん頭がぼうっとしてくる。
中島くんは人を引き込む方法を知ってるんだと思う。甘い雰囲気をつくりだすのがお上手。
だけど……このまま流されるのはいやだ。
「遊ぶなら私以外のだれかにして」
両手で胸元を押しかえした。
わずかに顔をあげると、感情の読めない目が私を見ていた。
数秒後、キーンコーンと間抜けなチャイムが校舎に響きわたる。
中島くんは目をそらしたあと、ゆっくりと立ちあがった。
あと5分で朝礼が始まってしまう。
私も続いて立ちあがろうと足に力をこめた
……けど。



