中島くん、わざとでしょ



帰宅ラッシュの時間は過ぎているから、ホームにいる人はまばらで
先頭に並んでなくても十分に余裕をもって乗り込めるし、中で満員に押しつぶされる心配もない。



もうすぐ電車来るから、って小さく声をかけて前に1歩出ると
中島くんは「ああ、」と顔をあげる。





「あの、駅まで送ってくれてありがとう」



そのつもりで放課後に残っててくれたんだと信じてお礼を言った。





「気をつけて帰れよ」

「うん」

「じゃあ、また明日。……じゃないな、また月曜日」




中島くんの口から「またな」類の言葉が出てくるのは少し意外に感じた。




「うん。今日金曜だもんね」

「2日も会えないんだ」



スッと指先が伸びてくる。
キスを思い出してドキッとした。

だけど




「リボンほどけてる」

「……っあ、ホントだ」



身なりの乱れを指摘してくれただけだったらしい。
中島くんが相手だといちいち過剰に反応してしまう。