中島くん、わざとでしょ




「もう行くのかよ」

「当たり前でしょ。他に何を話すことがあるの」


「まだ一番大事なこと話してないだろ」

「へ? なにそれ」



少し考えて、「ああ」と思い出す。




「安心していいよ、あのことは誰にも言わない……」



だってもう二度と関わりたくないから、と心の中で毒ついた、直後。





「──────あのことって、何?」




聞きなれた声が、後ろから飛んできた。

それは、中島くんのものじゃない。



すごく耳触りのいい、優しい声。

振り向いた先には、私の大好きな人が立っていた。





「遼くん……っ」


たぶん、校内の見回り。
毎朝するように、先生に頼まれてるから。




「おはよう、はのん。もうすぐ朝礼始まるけど、こんなところで何してるの?」