文化祭を穏やかなものにするためとはいえ、私としてはあまり入ってほしくないのが本音。
ここで遼くんが拒否してくれれば、誘わなくて済むんだろうけど……。
「なあ遼、どう思う?」
副会長が遼くんに意見を求めた。
ちらりと私を見て、考える仕草をする。
お願い、中島くんは必要ないって言って……。
目でうったえたけど、どうやら伝わらなかったらしい。
「いいんじゃない」
「おし、決まりだな。上月ちゃん頼んだ」
肩をポン、と叩かれる。
満場一致の意見に私が入る隙は1ミリもないから、しょうがなく「わかった」と返事をした。
それぞれの教室に戻る際、遼くんのそでをそっとつかんで聞いてみた。
「遼くんは本当にいいの? 中島くんを生徒会にって……」
すると、いつもと変わらない優しい笑顔が振ってきて。
「中島君みたいな存在は、生徒会としては
かなり助かるから」
「……そっか」
「それに、早めに分からせておきたいなって」
「分からせる?」
聞き返したのに、聞こえなかったのか何も答えてくれず、「じゃあまた」と教室の中に入っていってしまった。