中島くん、わざとでしょ



「……キスのことは、許してない」

「……」



少し黙ったかと思えば、急にほっぺたをぐいっとつねられた。

さっきはギリギリの距離を保ってたくせに、今度は容赦なく触ってくる。




「いひゃい」


抵抗しようとして手を伸ばしたら、反対の手で動きを制された。

けっこう強い力。

私の両手首を片手でいとも簡単に拘束するんだもん。手のひらの大きさも指の長さも全然違う。




「りょーくんとは同じもの飲めんの?」



ほっぺたつねったまま聞いてくる。

何その質問。
しかもこの状態で答えろって、発音、おかしいことになっちゃうんだけど。



口を無理に開こうとせず、首だけ横に振った。

すると、つまんでいた指先の力が弱まって、解放される。




「飲めないのか?」

「だって、緊張する。……無理だよ」

「……あー、」




微妙に視線をずらしながら、そんな返事。

自分で聞いておいて反応薄いってだめじゃない?
私もなかなか、恥ずかしいこといった自覚はあるけど。




「だってそうだよ。好きな人と、とか、顔赤くなるし、バレる……」