「女子に平手打ちされたのも昨日が初めて、変態呼ばわりされたのも初めて。 あーあ、ほんと、おっかない女」
口を開けば悪口しか出てこない、この男。
今まで騙された自分が信じられない。
いっつもニコニコしてる時点で、誰にでもわけ隔てなく優しい時点で、うさんくさいって思うべきだった。
「こうなったのも全部、中島くんが隠れて煙草なんか吸ってたせいでしょ」
「キスくらいで、あんたがムダに騒ぎ立てるからだろ」
「キスくらいとか、そんな軽々しい捉え方してる男子、ほんとに無理なの」
「今どきそんな純情ぶってる女、モテないぜ」
ぐーっと怒りメーターが上がっていく。
だめだ、この人には何言ったって伝わらない。
こんな言い合いしてる時間、むだだ。
もういっさい関わりたくない。
早いとこ教室に戻って、ミカちゃんに暴露してやる。
そう思って、くるりと背中を向けようとしたら。
「せっかく、上月ならいいって思ったのに」
私のことをしれっと苗字で呼んで、さらに意味深なことをつぶやくから、自然と足が止まった。



