「ほら、コレ保冷バッグ。 徹底してるだろ……コーラは冷えたのが美味しーの」
自分のロッカーではなく、誰のものでもない空いているスペースに入れ込まれていた銀色のバッグ。
お昼休みに見た大量のコーラたちは、ここに収納されたいたらしい。
まさか学校に保冷バッグをも持ってくる人がいるなんて。
部活用とかならまだ分かるけど、コーラの鮮度を保つために。
「なかなかユニークなことするんだね」
「好きなんだよ」
「えっ?」
「好きなんだよ、コーラ」
ああ、うん。
コーラが好きなんだよね、知ってる。
唐突な「好き」になぜか上手く反応できなかった。
「1本やる。 一緒に飲も」
今回の『一緒に飲も』は、ひとつを半分こというわけじゃないらしい。
たくさんあるから、1本ずつ飲もうってこと。
受け取る。
学校とコーラって仲良くない組み合わせだと思う。
コーラを飲むのは普通のことなのに、場所が教室っていうだけで、なんだか悪いことしてる気分。
プシュッとフタを開けた中島くんを横目で見ると、すごく嬉しそうで。
一口流し込むと、「美味っ」って笑う。
コーラを持った中島くんは、すごく無邪気で、少し幼く見えた。
唯一、つくりものじゃないなって分かる瞬間。



