中島くん、わざとでしょ



ギリギリ触れない距離を保って、ゆっくりと輪郭をなぞるように下りていく。

丁寧に、じっくり焦らすように。

すると、決して触れることはない指先に妙なもどかしさを覚え始めて。




「っ、ちょっと、何なの……」


顎をひいて逃れた。

いつも乱暴に腕をつかんでくるくせに、と思う。


触るなら遠慮なくベタベタ触ってくれた方が楽だし
触る気がないなら初めから一定の距離をとっていてほしい。



こういうのも、分かっててやってるのかもしれない。
あらかじめ反応を予想して面白がってる。
きっとそう。

考えるとそれ以外ありえないって思った。




「からかいたいだけなら、私帰るけど」


一歩退く。



「俺もびっくりしてんだって」

「……何?」



意味の繋がらない返事が返ってきて眉をひそめた。




「特に用もないのに一緒にいたいって、おかしいだろ」

「なんの話?」

「……コーラ飲む?」



まるで噛み合わない会話。

ついていけずに固まっていると、机からひょいと下りた中島くんは、ロッカーのほうに歩き出し。