中島くん、わざとでしょ



私が見上げると、視線をずらして、戻して、またずらす。

机を椅子代わりにして腰掛けた中島くんは、はあ、と気だるげなため息を落とした。




「まさか今から生徒会の仕事あるとか言わないよな?」

「え……うん。ないけど」



会計報告の資料作成も無事終わって、しばらくは集まることもないって遼くんが言ってた。




「じゃあ……途中で電話かかってきても行くなよ」

「電話? 呼び出されることは多分ないと思うけど」

「ないと思う、じゃなくて。仮にかかってきても断れよって話」

「え……」



なに勝手なこと言ってるのって口を開きかけたけど、黒い瞳がじっと見据えてくるから「うん」とうなずくしか道はなくて。




「本当に?」


柔らかそうな黒髪が揺れる。
ふとほっぺたあたりに指先が伸びてきた。




「約束……だからな」