中島くん、わざとでしょ



どうせまた、この席の周りにはたくさん人が集まってくる。

通路をふさがれたら、溜まったもんじゃないし。
どうやら中島くんも、私の顔みたくないみたいだし。



そんな思いで、いっきにつかみ取った教科書たち。

慌てていたせいか、スルッと手中から抜け落ちた。



あっと思ったときにはもう遅くて、
バラバラ……と床に散乱。


そのうちのいくらかは、中島くんの足元に及んでいる。



あああ、最悪だ。

よりによってこんなこと。



「っ、ごめん。すぐ拾うから……」



そう言ってとっさに屈んだ私。

伸ばした手に、ふと長い指が重なった。



「何やってんだよ」


耳元で低い声。
ふわっと香る甘いにおい。


……拾ってくれるの?


ごめん、と謝った私を無視して、無言で拾ってくれる中島くん。


思わずその場に固まった私は、気づくのに遅れてしまった。



────中島くんのためにコピーしたノートが
彼のすぐ手元に落ちていることに。



ハッとしたのと、中島くんがそれを拾い上げたのはほぼ同時。