「上月さんは、それでいいんか?」

「それでって?」

「だから、他の女が中島を看病……ってか、ベタベタ触ってんのがだよ!」



勢いに圧されながらも、言葉の意味を理解して。ここは丁寧に誤解を解くことが先決だと判断。




「あのね、浦本くん。 ちゃんと聞いてほしいんだけど」

「何だよ」

「中島くんと私、付き合ってない。……本当に」

「……え?」



何度も否定してきたはずなのに、浦本くんは素っ頓狂な声を出した。




「マジで?」

「何回も言ってる気がするけど……」

「けど、席を無理やり前後にするくらい、海みてぇに深く想い合ってるんじゃ……」



海みたいに深く、だなんて、意外にロマンチックなこと言うんだなあってギャップに笑ってしまった。



「じゃーなんで中島は、上月さんに執着してんだ?」

「え……」