そんなことを口にするくらいだから、私は初めから来ないほうがよかったのかもしれない。

浦本くんに代わりを頼むとか。



どっちにしろ、私と話していても疲れさせるだけだと思う。

ここはもう、さっさと熱を計ってもらって、高いままなら帰らせるか、そのまま休んでもらうか。





「中島くん、熱計ろう」


枕元に無造作に置かれた体温計を手にとって差し出す。




「上月さん、スルースキル高すぎ」


中島くんがぼそりと何か呟いたのがわかったけど、聞こえなかったから とりあえず頷いておいた。


数十秒後、ピピッという音とともに取り出された体温計。




「何度だった?」


たずねると、数値が出ている面を黙ってこちらに向けてくる。

38度4分。




「上がってはないけど……もう帰ったほうがいいよ」

「授業受ける」

「何言ってるの、だめだって」



私がそう言うと、少し考えるように黙り込んだ。
そして、ちらりと下から、目を合わせてきたかと思えば。




「昼休み終わるまで俺のそばにいて」