「私が中島くんに襲われかねないってことね」
「平然と言うなよ。 てか、わかってんじゃん。 てっきりそーいう知識備わってねぇのかと思ってた」
「男子って皆そうなの?」
「は?」
「熱が出たり酔ったりすると、目の前にいる好きでもない相手を誰これ構わず襲っちゃうものなの?」
好き同士なら問題ないかもだけど。
節操ないって危ないし、そんな人がもし彼氏だったら嫌だな……って。
「上月って……なんつーか、ヘン」
「ヘン?」
「鈍くはないくせに、物事を自分と離れたとこで解釈するんだな」
「どういうこと?」
じっと見つめると、なぜか顔をしかめられて。
しまいには面倒くさいというように後ろの壁に頭をつけ、目を閉じる。
「あんまり見るな」
「……え」
「上月が言った通り、男ってときどき見境なくなるから。 好きでもないはのんちゃんに、触れてえとか思うんだよ」
再び開かれた目は、もう私を見ることはなく
瞼を伏せて、手元のつぶれた紙コップを見つめる。



