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─────ということで
お昼休み。
先生はご飯を食べに出ているのか、ドアに不在と書かれた紙が貼ってあった。
「中島くん、起きてますか」
閉められたカーテンの外側から声を掛ける。
返事はない。
開けて、いいのかな。
返事がないのは、きっと眠っているということで。
カーテンに手を掛けたまま、少し考える。
休んでいるなら無理に起こさないほうがいい。
だけど迎えに来てって言われた。
起こさなかったら、約束を破ったと思われるかもしれない。
……それに、もし脱水症状とか起こしてぐったりしてたら大変だし……って。
音を立てないようにカーテンを引くと。
静かな寝顔に思わず固まってしまった。
柔らかそうな黒髪が額の上でサラッと流れていて。
長いまつげが影を落とし
スッと通った鼻筋に、無駄な肉がない綺麗な輪郭。
ほんのり赤く染まった頬が整った顔をより色っぽく見せる。
やっぱり黙っていればすごく王子様みたいだ。
黙っていれば。



