熱で弱った中島くんは、あの綺麗なつくりをした顔に儚さがプラスされて。
そのうえ性格も素直で大人しくなるようなので、いつもあんな感じだったらアンニュイな王子様みたいでアリかも、とか思ったり。



完全に思考がヘンな方向へと進んでしまっていることに気づき、ゴホンと咳払いをする。




「私、昼休みに迎えに……様子を見にくるように言われたから、そのとき、無理しないで帰るように言ってみる」

「ああ。頼みます」



そう言って浦本くんが頭を下げた。

急に敬語になるのやめてほしい。

こうやって礼儀正しくしているのは、私が、慕っている中島くんの彼女だと思ってるせいなのかもしれない。


どうやら中島くんは、ゾクの中で、偉い立ち位置にいるみたいだし。



彼女じゃないからね? と付け加えようとしたけれど、否定のしすぎは逆に怪しまれる事態にもなりかねないので今回はあきらめた。



浦本くんが席を離れると、ミカちゃんが眉をひそめて。



「マジでどうなってんの」