中島くん、わざとでしょ



私たちが近づくと、ハッとしたように顔をあげて笑顔を見せた。




「すみません、昼まで休ませてほしいんですが」


先生は心配そうな表情をして、引き出しの中から体温計をとりだした。




「とりあえず熱を計って……」

そう言いながら、ちらりと私の方を見る。




「付添い?」

「あっ、はい」

「じゃあ、彼の代わりにこれ書いてあげて」



渡されたのは記入用紙が挟まれたボードと黒ボールペン。




「一番奥のベッドが空いてるから使って。 隣に椅子もあるから、彼女はそこで書くといいよ」



にこにこと愛想のいい、生徒との距離が近い先生。
あっさりとした性格に見えるけれど、その方が私たちも気を使わなくてすむから丁度いい。



中島くんのあとに続いてベッドへ向かう。

うちの保健室はかなり広々としていて、一番奥となると、先生のデスクからも距離があり、ちょっとやそっと話したくらいじゃ聞こえないんじゃないかと思うほど。



ベッドに腰をおろして、体温計をはさんだ中島くん。さっきよりぐったりして見える。




「えっと、中島くん。 今朝は何時に起きましたか」



私は隣の椅子に座って、記入事項の質問を読み上げた。