この学校では基本的に、いわゆる優等生という真面目キャラは通らず、意味を持たない。
裏の権力に埋もれてしまうから。
運が悪ければ、裏トップに君臨している男子達から目をつけられてお終い。
元が真面目な人でも、それを表には出さす、目立たないようにして、
中には、わざと悪ぶっている人もいるかもしれない。
そんな中で、唯一の例外が中島くんだった。
「やばい人、かあ。よく考えれば、たしかにそうかもね。ああいうタイプ、普通は一匹狼になってもおかしくないのに」
ガタイの良い体をしているわけでもない。大きくて太い声を持っているわけでもない。
荒い言葉を吐くわけでもない。いつもニコニコと柔らかい笑顔をして、誰に対しても優しい対応。
それなのに、彼の言うことにはクラスの誰もが従うんだ。
「何よりイケメンだから、最初の頃はあたしも気になってたな〜。今は彼氏しか見えないけど」
言われてみれば、中島くんはとても整った顔をしてる。
初めて見たときは、まさに美しいという言葉が当てはまる人だと、本気で思ったくらいに。
悔しいけど、中島くんは綺麗で、かっこいい。
だけどそれは、あくまで見た目の話……!
昨日のことも忘れて、危うく、一瞬でもうっとりしてしまった自分が憎い。
「とにかくミカちゃん。中島くんはね、」
「─────俺が、どうしたの?」