「本当?」 優の言葉に分かりやすく表情が明るくなる女の子。 「うん。僕が持ってるのでよければ・・・図書館みたいにいっぱいはないけど」 「大丈夫!きみのおすすめ、読ませてよ!」 声のトーンも一つあがる。 学校が終わったらここの土手で、お互い持っている本を一冊持ってくる。 そんな約束を毎日交わした。 これが、優と花実の最初の出会いだった。 優が初めて門限通りに帰れなかった日だった。