次の日から、花実は学校に来なかった。



誰もいない図書館にも、放課後の土手にもいない。



約束なんてしたことなかった。


帰り際にいつも手を振る「また明日」が、当たり前のように明日も会えると思っていた。



でもそれは何よりも曖昧で不確かな、まるで口に入れただけで溶けてしまうわたあめのような日々。



どちらかがいつもの場所で立ち止まらなければ会えない程、お互いの日常は重なっていなかった。



いつもの場所以外で花実に会う自信がない。会いにいく理由が見つからない。花実を探す勇気がでない。



結局優はいつもの場所で一人本を読むしか出来なかった。