さゆりちゃんはおままごとが好きでした。
私はおままごとが苦手でした。
でも、他に遊ぶ相手もいないので、
まずはさゆりちゃんを誘いに行きます。
遊ぶ内容はいつもさゆりちゃんが決めました。
さゆりちゃんがお母さん役で、私は赤ちゃん役を仰せつかります。
寝ているだけの赤ちゃんはとても退屈でしたが、
勝手に立ち上がったり、指示通りに泣いたり寝たりしないと叱られます。
どんくさい私はつまらないと思いつつ、
そんなものかなぁと思っていました。

そこにゆうきくんが現れると、ゆうきくんもおままごとに加わります。
ゆうきくんも赤ちゃんにさせられます。
しばらくすると赤ちゃんが1人、病気になり死にます。
死んだ赤ちゃんは、どこか遠くへいかなければなりません。
どこかへ行ってと言われて、私は物陰へ隠れます。
しばらく隠れていますが、ずっと隠れていても暇なので、出て行くと、
死んだ人が出て来てはいけないと怒られます。
つまらないので私は家に帰ります。

このままごとはたいてい私の家の前で、
私の遊び道具(といっても使い終わった割り箸や食品トレイ)で
行われていました。
死んだ私は、彼等の視界に入ると怒られるので、
家から出るに出られません。
家の中では母が内職をしながら妹をあやしていて、
そこもあまり居心地の良い場所ではありませんでした。
2人がいなければ、家の前でケンパとかボール遊びができるのに。
私は本当は身体を動かす遊びが好きでした。