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パンケーキの店内に入り、奥の席へと座る。
”好きなモン頼め”と言う俺に不安な顔をしつつ、
「この日替わりパンケーキAセットで」
本当に食べたいのか？と思うような声で、パンケーキセットを注文した。
「………じゃあ俺はこのパンケーキスペシャルセットに……『え』
………………『え』と声を上げた後、羨ましがる表情で俺を見る。
スペシャルパンケーキセットの方がAセットより600円も高いし、豪華だ。
きっと橋本は自分の持ってる所持金を計算してAセットにしたんだろう。
……そうだった。
そっか、そうなるよな。完全に価値観忘れてた。
いつも麗美の分は当たり前に俺が出してたから、出すのが当然だと思っていたけど違うんだよな。
今、目の前にいるのは麗美じゃないんだ。
しっかりしろ、俺。
「橋本、俺が払うから好きなの頼んで」
