だから橋本が食いつきそうな元カノ話をしてみる。 「俺さ……元カノには色々気遣って言いたい事も我慢しまくってたんだよ。だから二年も付き合ってたのに、アイツ、俺が口悪いの知らないし」 俺だってこの二年間、イイ顔を振り撒いて、言いたい事も、本音も言わず、謙虚に過ごしてきた。 ”優しい翔くんが大好き” この言葉に甘んじて、優しくいなきゃと、麗美が望む彼氏でいなきゃと俺自身を封印した。 ソレは想像以上にキツくて。だからこれからはズルく生きる。 ――橋本も、 ズルく生きてほしい。