さっそく並ぼうと列を見渡すと友達らしき人と並んでる人や、カップルで来てる人ばかり。


 さすがに一人じゃ食べづらいと、列から少し後ずさったその時、

 …………………頭が真っ白になった。


 並ぼうとした列に何故か陸くんとサナがいて。繋がれたその手は恋人繋ぎだった。


 二人は、私に気づく事なく楽しそうに話している。



 声をかける事なんてできない。


 二人をこの場で罵倒(ばとう)する事もできない。ただ今見た事が夢であってほしいと、現実逃避をしたかった。


 だから二人を遠くから目撃した私は、そのまま背を向け走った。


 ――消えたかった。私なんて消えてしまいたかった。

 泣きながら、ただひたすら走った。そして、泣き疲れてその場に座り込み、また、泣いた。


 サナは高校に入って初めてできた友達だった。


 2年の時も一緒のクラスになってめちゃくちゃ喜んだ。 何でも話したし、相談もたくさん乗ったし、乗ってくれた。


 陸くんとは2年になって、席が隣で良く話すようになり私から告白した。


 1秒も悩まずに即答でOKしてくれた陸くん。


 付き合って、半年。 まだ半年だけど、もう半年。この半年間、私は本当に本当に幸せだったんだ。


 何不自由なく、幸せに満ち足りた高校生活を送っていた。











 ……………………私だけ、幸せに満ち足りていた。