◆◇堀内翔side◆◇


 俺にとって橋本美羽は、ただ後ろの席の子という認識でしかなかった。


 たまたま偶然、俺は橋本の前の席になった。


 だからといって喋るワケでもない。今後も特に関わりなく橋本との関係性は終わるんだと思っていた。



 …………………あの出来事に遭遇するまでは。



 石田と松本が騒いでいたパンケーキ屋さんの位置を確かめた俺は、そのまま通りすぎようと思っていた。だけど、青ざめて後退る橋本を目撃した。



 まるで事故現場でも見てしまったような、そんな顔をしている。


 ………………さすがに気にならないワケもなく、橋本が見ている目線を追って見てみるも、長蛇の列しかない。