「俺も………まだ早いと思う。それに俺は純粋な美羽が好きだし。大切にしたいし」
陸くん”は”そういう事は、まだ早いと思っていたようだった。
……だとしたら言えない、言えるワケない。『本当はキスしたい』なんて言ったら絶対に嫌われる。
……陸くんに、嫌われたくない。
結局、趣味が何なのか、聞き出す事もできずに『ごめん、この後用事あるんだ』と言われ、せっかくの久しぶりのデートも1時間程度で終了してしまった。
「はあ…………」
たった1時間しか一緒にいなかったのに、一緒にいる事が、陸くんの顔色を伺う事が、ひどく疲れた。
近くの喫茶店に入り、今日陸くんと一緒に行く予定で下調べしていたパンケーキ屋さんのレビューを、もう一度開いてみる。
………行きたかったな。
せっかく調べたし、行ってみようかな……と重い足をパンケーキ屋さんに向ける。
………着いて唖然とした。
やっぱり、口コミ通り凄い行列ができていた。



