サナと陸くんが教室にいたらと思うと、怖くて結局スマホは取りに行けず、そのまま家へ帰宅した。
次の日の放課後、よりによって何で今日なんだろう。この日に限って陸くんから『美羽』と名前を呼ばれた。
「一緒に帰ろう」
「……サナは?」
「いないよ。今日は美羽と二人で帰りたいから」
…………誘われるなんて思わなかった。言い訳が思い付かず『今日はちょっと』と遠慮がちに断っていると、困っている私を見てか『橋本帰るべー』堀内くんがドアの入り口から『早く来い』と言わんばかりに私を呼んだ。
………最悪のタイミングだ。
恐る恐る陸くんの顔を見てみると、案の定目が笑っていない。
「………………え、堀内と帰るの?」
『それってどうなの?』とばかりに、私に圧をかけてくる。



