浮気してるくせに平然な彼







 サナは堀内くんに笑顔を向けた後、私に苦しそうな笑みを見せた。


 きっと『ゴメン』の笑顔だ。
 色んな『ゴメン』がいっぱい詰まってる気がした。


 石田くん達に抑えられてる陸くんに、堀内くんは見下すような顔を向ける。


「言葉と行動が伴ってたら、理性がぶっ飛びそうな状況になっても、手足縛って襲えなくしろって頼む事くらいできるんだよ。 俺は橋本が好きだから頼んだよ。 どんなにそれがダサかろうが俺の好感度を上げる事ができるなら、それくらいどうって事ねぇんだよ」



 堀内くんのその言葉に、

「堀内、それで本当に好感度上がると思ってんの?? 本当にヤってほしい時に襲ってくれなきゃ、もし付き合えたとしても、美羽だって浮気するに決まってるだろ」


陸くんはバカにしたような笑いを吹き出す。



 “浮気するに決まってる”
 私の胸に、陸くんの言葉が重く突き刺さる。