………嘘じゃなかった。
何も知らず過ごしていたあの時は、陸くんとそういうコトがしたかった。
ずっとキスも、それ以上もしてほしかった。
涙をボロボロと流す私を、陸くんは『美羽』と優しく抱きしめた。
「本当は俺も美羽とキスしたかった。それ以上の事もしたかった。今夜美羽の部屋行きたい。イイ??」
「……………うん」
「同室の子、別の部屋に連れ出してくれる??」
「うん」
陸くんの胸の鼓動がドクドクと早くなる音を聞きながら、“ごめんなさい”と心の中で謝った。
だって今夜、私達がキスする事も、それ以上の関係になる事もない。