「美羽の事変わらず好きだよ」
“好き”
どういう感情で、その言葉を口にしているのか分からない。
陸くんの事が信じられない。全然信じられない………
「陸くん、私……陸くんとちゃんと向き合いたかった。陸くんの気持ちがサナに移ってしまう前に、ちゃんと話し合いたかった」
「サナに向いてなんてないし。俺はこれまで通り美羽と付き合っていくから」
これから先、陸くんが必死に私の為に尽くしてくれても、この押しつぶされそうになる不安感は消える事はない。
陸くんと付き合ってる以上、消える事はない。
どうしたらイイんだろう。どうやって今夜の話題に繋げれば………そんな事を考えていると、ふと石田くん達の“キスでもねだって、今夜抱いてほしいくらい言え”という言葉を思い出した。
イヤだ。
陸くんにキスされるなんて、抱かれるなんて想像しただけで頭がグチャグチャになる。
………だけど、“橋本が誰を好きなのかくらい、俺たち皆分かってるから”泣きそうな表情の松本くんの顔を思い浮かべながら、覚悟を決める。
「陸くん、私………本当はずっと陸くんとキスしたかった。それ以上の事も……したかった」



